http://www.asahi.com/special/050410/TKY200504150173.html
中川経産相が言っていること自体はいつもの水掛け論で、ここでは問題ではなく。ただここで彼の言う「法治国家として」という嫌味は、人権問題と並んで中国政府批判としては定番化していて、確かに大事な問題でもあると思う。自分の仕事の関連でも、中国は特許審査の基準がどうも曖昧で、法律に照らすとなかなかムリヤリな感のある拒絶理由を通知されたり、それに関して現地代理人から「役所自身が曖昧なので当方としては何とも・・・」みたいな連絡が来ることもある。その他全体として中国は、共産主義か資本主義かというより、人治主義の国、という認識が業界にはあると思う。
まあ中国四千年の歴史は徳治主義の歴史、一国の制度に「われわれ流」があってもそれ自体はおかしくないし、いろんな機関に書面をぐるぐる回すよりは、賢明な指導者なり担当者なりがスピーディーに決断する政治形態の方が、鼠をよく捕る猫となり得るのもたしかだと思う。上の特許の話でも、審査の結果自体は、けっこう一般人の感覚に合致したものになっていたりする(ええっ、こんなゴミみたいなのに特許が?ということがままある他の多くの国に比べると)。けれど、法治主義(形式的法治主義も、法の支配も含めて)というのはそもそも、具体的な問題に対して秀逸な結論を早く出すことを目指す価値体系ではない。そこんとこからよく考え直さないと、批判を受ける状況は改まらないんじゃないかと思う。・・・中国の上層部は超エリートだから、その辺ぜーんぶ分かった上でのあの行状なんではあろうけれど。
もっともこれ、日本政府に批判の資格があるかはきわめて疑問で。人治主義の一形態として裁量行政というのがある。