きょうの行政法で当てられた特許法ネタ、自分が口走ったことの答え合わせのために仕事場に行ったが、忙しい我らが親方は外出中だった。なるべく早く聞いておきたい。
そのネタとは「キルビー事件と、出願人名義の不正変更後に特許権が設定されたという事件の両判例、法104条の3の追加により先例としての価値が失われたと言うべきか」という問題で、「失われていない」という結論自体はこれでよいと思っているものの、名義変更の事件と同条は関係ない、なんてことを言ったのは不適切だったかと思う。
104条の3の文言は対象となる特許無効原因を限定してはいないし、およそ当然無効というものもないはずなので、いずれの事件も今だったら、一応104条の3の問題にはなるのだと思う。ただ、この条文は特許査定・審決の公定力を侵害訴訟では一律に否定するかのような文言になっていて、これに問題がないとは思えないから、どのような要件の下に104条の3の抗弁の成立を認めるかを解釈上画定すべきなのであり、その意味で、特許無効原因それぞれの性質に即して要件を定立した両判例は先例として未だ価値がある、ということではないかと今のところ思う。・・・またいろいろ話を聞いたり読んだりして、これを修正していくとする。
まあ、仕事の狭い世界の話を聞くだけでは「公定力」「不可争力」という言葉に出くわさないもので、われわれ下っ端は「キルビー事件の判例が明文化されて便利になりました。以上」てな理解で大して差し支えなかったりする(104条の3の文言は判例の言うこととはまたちがっているのだけれど)。しかし、そんな頭に行政法学の立場から切り口を与えられると、急にコトの真相に迫れたような気分になる。ていうか、とにかく必死に考えて何やかやしゃべってみるのはとても勉強になった、ということだ。