国籍法3条1項を一部無効とする法令違憲判決が出た。父が日本人、母が外国人(面倒だからそう書く)のとき、自動的に日本国籍を取るには父の認知だけではダメで、父母の婚姻による準正が必要、というのがこの条項の言っていることなのだが、違憲だという結論は妥当だと思うけれど、ある人を国民とするかどうかという入り口の話(すでに国民である人の人権の話ではない)なので、理屈はそんなに簡単ではないはず。あとで必ず判決を読まないと。
・・・で、パラ読みした所では藤田宙靖意見がよく考えてあると思う。というか、板ばさみの存在を認識した上で両方を立てるうまい結論を出そうという意識がともかくも出ていると思う。この意見は、この条項が父の認知しかない子に対する過剰なハードルを課しているのが差別だとみるのが多数意見だとした上で、これに反対し、父母ともに日本人である者以外には帰化を要求するのが国籍法の大前提で、国籍法3条1項はその例外となる優遇規定であるとし、現にあるこの条項それ自体は問題がないとしている(仮にこの規定がなく純粋な血統主義を貫いたとしても、それはそれで筋が通っており直ちにその状態を違憲だとはいえない、ということだろう)。そして差別は、同条項による優遇が中途半端であることにより生じているのだから、問題のない同条項が現にあるという前提からすれば、同条項を拡張解釈して、父の認知しかない子にも自動的な国籍取得を認める道を選ぶべきだ、としている。(追記:こう考えると、法律の条項が一部文面上違憲な場合のその条項の解釈のあり方、という多数意見が悩んだ問題もひとまず判断回避できる、というメリットもある。)