宅間守死刑囚が、(他のケースの運用に比べれば)早期の刑執行を受けた。本人は早く死んでしまいたいと思っていたようなので、本人の希望に沿った形になる。死ぬ以上の苦しみを味わわせるべきだと思っていた向きには、あるいは不満の残る処遇かもしれない。
個人的には、国家による刑罰という形の制裁が制裁としてどれだけ有意義なのか、ますます分からなくなってしまっている。犯罪予防にとって厳罰化がプラスかマイナスかもよく分からないし、加害者の人権に比べて被害者の人権が軽視されている、とも言われるものの、この点が議論されるとき、加害者の人権と対で天秤にかけられているものは、実際には被害者の人権ではなく、いわば「ギャラリーが溜飲を下げる権利」であることが多いと思う。