■ - mustelidaeの日記

「悪魔に命令されて」自動車事故を起こしたら心神喪失で無罪、という判決。うちらの刑法の先生だったら納得しないんじゃないかな…奇しくも（？）大阪地裁。喩えて言えば、悪魔に命令されただけであって、手首をつかまれた訳じゃあないでしょう、というか。…でその先生の刑法総論の２版が４月に出るらしい。因果関係論で大きなバージョンアップがあるはずなので忘れずに買わないと。ある意味憲法の百選よりずっと大事。

きのうの判決を自分でも斜め読みしてはみたが、とりあえず他の人のちゃんとしたまとめを待ってみる。ぱっと見た限りでは、藤田反対意見は“『君が代』の背景にある世界観に対する自己の信条”と“公的儀式での『君が代』斉唱の一律強制の是非（価値相対主義のあり方の問題）に対する自己の信条”の問題を分けて考えているように見え、また、内心の問題と外部的行為である消極的表現の問題との関係についても、単純に二分するのでなくその相関に着目しているように見える。自分も考え方としてはそうあるべきだと思った。これらはあの歌を抽象的な一つの記号のように捉えてしまうと出てこない観点だと思う。まあ、原告に対しては「この人たちだって“逆方向での一律強制”を長年もくろんできた人たちじゃないか」という不信の目もありそうなところで、世間話的にはそこが一番問題かもしれない。でもそういうのは裁判所の手には負えない問題だろうし、一律強制を一律強制で制しているうちは教わる側の不幸も続く訳だし、とりまく世間の方も進歩しないだろうし。…しかし補足意見を出した裁判官はあの人だったんか。