いちおう観てきた。
この映画は、原作を読んでいない自分には分からないところがある。(今回はうかつにも持ち合わせがなかったけど後でパンフレットでも買おうか。) ショーとして戦争をやっている設定だと聞いたことがあるが、一般人に教訓を垂れるための戦争として見るとあまりにも腑に落ちないので、やはり戦争は戦争としてやっているんだとひとまず受け取る。
もっとも、そうだとして見ても腑に落ちないところはあり、問題意識自体がでっち上げられているような、「この境遇に置かれた人間がもつ悩みは本当にこんななのか?」という感じがある。(国民国家のやる戦争をああやって一般人から隔離するということ自体、社会科学的に成り立つ世界設定なのか、という素朴な疑問もある。) それは押井監督の映画をみていつも感じること。カンヌの審査員もその辺りに引っ掛かったらしい、という話を聞いたような気もするが、だとすればベネチアの審査員も今回ので同様の引っ掛かりを覚えるんじゃないかと予想する。
あと、この映画での永遠の子供は、(大人が考える意味での)能力的にも、(大人が考える意味での)子供のまま留め置かれるということなんだろうか。そう思わないと個人的に意味がつかめないところがある。もっとも、そういう理解でよいとすれば、巷で言われる菊地凛子サンの演技はあれで正解、ということになるんじゃないかとも思う。
絵と音楽はいつもながらすばらしい(この監督の作品はそれだけで十分ともいえる)。スカイナントカというだけあって空の描写が見事。昼といい夜といい。あと、さまざまな灯りの描写も。