きょう時点での報道では、「固い、高い壁があり、それに1個の卵がぶつかって壊れるとき、どんなに壁が正しくても、どんなに卵が間違っていても、わたしは卵の側に立つ。なぜならば、わたしたち1人1人は1個の卵であり、ひとつしか存在しない、壊れやすい殻に入った精神だからだ。わたしたちが立ち向かっているのは高い壁であり、その壁とは制度だ」と、イスラエル賞という賞の授賞式で村上春樹が言ったことになっている。「制度は本来、わたしたちを守るはずのものだ」とも。早く全文が読みたいと思うけれど、制度というものを少し勉強する機会を得た自分としては、とりあえず考えてみるべきことがある。壁や卵の比喩は適切なのか、とか、制度は本当に「本来」個人を守るものなのか、とか、制度自身に正しいとか誤りとかがあるか、あるとしてどういう意味なのか(「わたしたち」の側でいう正しさと何かちがうところがあるのか)、とか。ここでいう「制度」を法制度だと思って読めば、その答えの一端くらいは教科書にも書いてあるわけだけど、もちろんそれだけが制度じゃあないわけで。なにしろ全文が読みたい。その後で。

(2月18日追記) どうもこれ(→http://www.haaretz.com/hasen/spages/1064909.html)が講演の原稿らしい。締めくくりの部分など、実際に話されたフレーズとは異なるのでテープ起こしではなさそう。