映画を、そのドラマの構造の本格的解説つきで観るというのを体験する。もっとも、その解説を自分がよく理解できたわけではない。覚えている限りでは、親子の垂直的(agnatique)な関係や婚姻による水平的(cognatique)な関係からなる構造に追いつめられて煮詰まって結晶してしまう「無法な」男女関係、その他、構造にめでたく組み込まれることのない男女関係、そういったものの末路を描く映画だ、という話ではあった。と思う。これをハッピーエンドとして描く文学が現代日本にはない、という話や、そういう男女が現実にいたとき、それを救うものは…というような話もあった。と思う。まあ、それはそれはそれとして自分は香川京子サンの色気に圧倒されてお腹いっぱいになった。観たのは溝口健二近松物語』。